小学校の最初の記憶を辿ろうとするとき、「入学式」のことを思い出すのがもっとも手っ取り早いと思うが、がんばってみても何ひとつ思い出せない。ただ、はじめて教室に入ったときに得た感覚のうち、今でもイメージとして覚えているものがある。
僕が通っていた「さくら保育園」は、上野小学校からもっとも近い場所にある保育園で、実際に入学生の7割ぐらいは「さくら保育園」を卒園した子どもたちで占められる。当時校舎は新しくなったばかり。時代は管理教育への反省が学校の建築面に反映された頃だったのだろう、白い壁にパステル調のピンクやブルーが屋根などにあしらわれた、かわいらしい校舎であった。一学年のクラス数は2つ。1年生の教室は昇降口から入って右側だったような気がするが正確には覚えていない。各学年の教室の横には「オープンスペース」と呼ばれるカーペット敷きの空間があり、その境目はアコーディオンカーテンで区切られており、それを取り外すと、オープンスペースの側から1組と2組の両方の教室を見渡せる。まるでシチュエーションコメディのセットのような様相である。もっとも、当時はオープンスペースという言葉を覚えるのにそれなりに時間がかかったし、今考えればその意図も分かる「オープンスペース」の存在についても、当然「めずらしいもの」だという意識はなかった(この「オープンスペース」の話はまた別の機会にちゃんと書いてみたいと思う)。
さて、その教室にはじめて入ったのは、入学式の日だったか…それも自信はない。恐らく保育園で「学校見学」という機会が用意されたろうし、入学式の前にも登校日があったかも知れない。とにかく、そうして初めて入った学校の教室の記憶として未だに僕の中に感覚として残っているのは、広々としたオープンスペースでもブルーの丸い屋根でもなく、机と椅子の「直角」のイメージである。そう、そのイメージは具体的なモノの記憶というより、他人に伝わらないとしても「直角」と表現するのが一番正確であるように感じる。ではいったい、この「直角」のイメージを象っているものは何だろうか?
そう考えながらさらに記憶を辿ると、黒板の上に貼ってあった大きなポスターの絵が頭に浮かんでくる。白黒のイラストだったか、それともカラー写真だったか、それは覚えていないが、そこには机に向かうときの正しい姿勢が描かれていた。机の手前側にできるだけお腹を近づけ、背中をピンと伸ばし、視線をしっかり前に向けて座る。このポスターは相当大きなもの、自分自身の身長と変わらない、あるいはそれより大きいサイズのものとして知覚され、記憶されていることを考えると、相当印象的だったのであろう。このポスターの絵に象徴される「直角」な感じが、実際の教室のイメージとともに、僕にとっての最初の「学校」らしいものとして知覚されるようになった。もちろん、それは嫌悪の対象ではなく、好奇心をもって加わる新しい世界の性格として。
あのポスターは今でも貼られているのだろうか。
学校のイメージを「直角」。おもわず「あるほど〜」言えてます。
返信削除コメントありがとうございます。通ずるものがあったのでしょうか。いくら屋根が丸くても「直角」なイメージ。どこから来るのかなあ。
返信削除小学校の入学をそこまで記憶しているのはさすがですね!
返信削除上野小は,市の中心部から離れた農村地域で,地域自体がつながりの濃いところだと思います。
学校は児童と先生というくくりではなく,地域とのつながりもからんできますので,様々な視点から見ていけるといいなぁともいます(^^)b
>Unknownさん
返信削除常陸大宮市内の上野小と他の小学校の比較の視点はもう持っていませんが、地域のつながりが濃いことは確かです。そのことについても思い出してみます。